旅の準備編

フィレンツェ見所案内 サンタクローチェ聖堂1

フィレンツェの東側にあるフランチェスコ派修道院付きの教会として建てられたサンタクローチェ聖堂です。

Basilica di Santa Croce

サンタクローチェ聖堂1

Piazza Santa Croce, 16, 50122 Firenze  月曜~土曜 9:30-17:30 日曜祝祭日 14:00-17:30 フラッシュなしであれば写真撮影可能(三脚不可)

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暑い初夏の6月半ば、、一番気温が高い昼間にフィレンツェで4時間も時間が空いてしまったので、以前から久しぶりに訪れたかったサンタクローチェ教会に行くことにしました。以前は、教会と美術館が別だったのですが、今は、両方の共通入場券となっており、向かって左脇の入り口から入ります。
紀元後1000年頃、このあたりはまだアルノ河の中洲だったそうです。1205年に聖フランチェスコがフィレンツェを訪れ、1228年には、城壁の外であったこの場所に最初のフランチェスコ派の小さな教会が立てられました。
その後、信者や修道士の数が急速に増加したのに伴い、1294年から今のサンタクローチェ教会が建造が開始されました。1443年に大体の現在の大きさになり、ファサード(正面)の装飾は1863年に取り付けられます。

中はひんやりと涼しく、多くのツーリストが見学しているのにもかかわらず、静かな雰囲気です。天井の木の梁が素朴さを感じさせ「清貧」を説いた聖フランチェスコの教えを思い出します。しかしながら、サンタ・クローチェ教会も、他の修道院と同じように、「異教審問」という暗い歴史を背負っています。疑いを持たれ、処刑された者の財産は教会が所有権を持ち、その後の教会の拡張工事の資金となったそうです。どの組織も、創立者の志を受け継ぐのは簡単なことではないようですね。
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写真左:私がこの教会を訪れ、いつも会いに行くのが、この若きドナテッロ作の受胎告知。教会に入って右手の真ん中当たりにあります。
等身大で、ほぼ丸彫り(でも脇から見ると一部は壁面にくっついています)のリアリティーと、ちょっとアルカイックな味が混在している作品です。若い聖母マリアの戸惑いのしぐさがとてもリアルです。登場人物を左右に避け中心に空間を作るという斬新な構図は、その後、ミケランジェロに受け継がれていくフィレンツェの偉大な芸術家ドナテッロの力量のようなものを感じさせます。

写真右:その左隣には、ベルナルド・ロッセッリーノ作レオナルド・ブルーニの墓があります。 布の描写も素晴らしく、全てにおいてバランスが取れた作品です。
サンタクローチェ教会の特色は、ミケランジェロ・ブオナローティ、ダンテ・アリギエーリ、マキャヴェッリ、レオナルド・ブルー二、ガリレオ・ガリレイなど、フィレンツェの著名人の墓標が多いことです。「清貧」というイメージの為か、多くのフィレンツェの貴族達もこの教会に埋葬されることを願う人気の教会だったそうです。
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写真上:そして、この教会で是非鑑賞していただきたいのは、ジョットーの「聖フランチェスコ伝」、「洗礼者ヨハネ伝」、「福音史家ヨハネ伝」です。写真は、祭壇に向かって右隣の聖フランチェスコ伝。

一時期、上に漆喰を塗られ、隠されてしまったフレスコ画なので、損傷が激しく、一部しか残っていません。
上は、聖フランチェスコの死のシーン。画像をアップしながらふと気づいたんですが、背中を向けて、聖フランチェスコの脇腹に手を差し入れている僧衣を着ていない人物は、医師だそうです。奥の人物の表情もとてもリアル。
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祭壇に向かって左側、現在は参拝者のためのスペースとなっている場所の奥にはドナテッロ作の磔刑像があります。この磔刑像は、当時同じ時期に彫られた、サンタマリア・ノヴェッラ教会のブルネッレスキ作磔刑像(写真下、右・左)と比べられます。
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本人同士も恐らく見比べていたであろうこの2体のキリスト像は、それぞれの個性が出ていてなかなか興味深いものです。

サンタクローチェ教会レポートはまだまだ続きます。

このコンテンツでは、ブログ「フィレンツェ田舎生活便り2」で、私が、訪れたフィレンツェの教会や美術館について日記風に感想を綴った記事をまとめたものです。絵画作品や教会内の写真の一部はWEB上にある利用フリーの画像素材を使っています。現在は、全ての教会や美術館ではフラッシュ撮影は禁止、フラッシュなしの写真撮影も禁止している所が多くあります。今まで残ってくれた美術品に感謝しながら、これからも長く保存していけるように、鑑賞したいものですね。

Piazza Santa Croce, 16, 50122 Firenze

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ラ・カーサ・ミーア 奥村千穂

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