メディチ家が長く住居として利用していた建物です。ルネサンス時代の画家、べノッツォ・ゴッツォリの素晴らしいフレスコ画が残る礼拝堂を見学する事が出来ます。
Palazzo Medici Riccardi
メディチ・リッカルディ宮殿1
Via Camillo Cavour 3, Firenze 月曜~日曜 9-19 水曜休 礼拝堂内は写真撮影不可
先週、ちょっと時間が空いたので、久しぶりにPalazzo Medici-Riccardi(メディチ・リッカルディ宮)を訪れました。
前回訪れたのは学生時代で、15年以上前です。久しぶりに訪れたメディチ・リッカルディ宮は、期待していた以上に素晴らしいものでした。
メディチ・リッカルディ宮は、メディチ家のコジモ・イル・ヴェッキオが当時の建築家ミケロッツォに発注し、1444年から1482年の間に建築されました。
コジモ・イル・ヴェッキオからコジモI世(トスカーナ大公)の時代までメディチ家の住居として利用され、その後、1659年にリッカルディ家へと売り渡されたために、現在では両家の名をとってこう呼ばれています。
1870年頃、フィレンツェがイタリアの首都になった際には、ここに内務省が置かれ、現在ではトスカーナ県庁のオフィスが入っています。美術館の 入り口はカブール通り側です。
写真左:チケット売り場を抜けると、ロッジャに囲まれた中庭があります。これも、建築当時そのままの状態です。
写真右:また、裏側にはお庭があり、レモンやオレンジの大きな鉢が並んでいます。角には、巨大な藤の木があり、きっと5月、6月には藤の花で飾られるのだと思いますよ。
さて、ここのメインは2階にある小さな礼拝堂。
Benozzo Gozzoli(べノッツォ・ゴッツォリ)という画家の見事なフレスコ画で3方が埋め尽くされています。天井も装飾がされ、小さいながらも贅を尽くした素晴らしい礼拝堂です。
窓がなく扉もとても小さいので、全く日光が入り込むことがなかったこと、蝋燭が光源として利用されていた為に蝋燭の煤がフレスコ画の表面に付着していたことにより、逆にとても良い状態で保存されることとなったのです。1990年に完了した洗浄修復後、現在では、描かれたばかりかと思ってしまうような、美しい色彩を鑑賞することができます。勿論、写真は厳禁、壁を触ったり壁に寄りかかったりすることも厳禁です。ここで利用している画像は、WEB上での転載を許可しているフリー画像をダウンロードしたものです。
フレスコ画のテーマは、Cavalcata dei Magi(カヴァルカータ・デイ・マージ=東方三賢王の旅)、キリストの生誕を知らせる星に導かれ、馬に乗って、キリストを礼賛する為に旅をする東方の3人の王様の図です。1459-62年の間にヴェノッツォ・ゴッツォリによって描かれました。
この画家は、サンジミニアーノのドゥオーモにも大きな作品を残していて、優雅な前期ルネッサンス様式を築き上げた巨匠の一人です。
祭壇の真正面には、熟年の王様。モデルは、1448年に亡くなったビザンチン帝国の皇帝パレオーロゴではないか?という説があります。
そして左側は、老年の王様。この王様のモデルは、1439ー44年にフィレンツェで行われた公会議(東方教会と西方教会の教義の統一を図った会議)のためにコンスタンチノープルからフィレンツェへやってきて、この異国の地で亡くなったジュゼッペ・イル・パトリアルカ・ディ・コンスタンチノープルだと言われています。
ところが、最近では、神聖ローマ帝国を治めたシジスモンド・ディ・ルクセンブルゴではないか?という新説が挙がっています。
もし後者が正しいとすれば、ロレンツォ・イル・マニフィコに象徴されるメディチ家が、シジスモンドに象徴される西欧教会と皇帝パレオーロゴに象徴される東方教会の橋渡しをするといった意味合いをこのフレスコ画に持たせたのかも知れません。
1439年に公会議が開かれた街、フィレンツェだし。 それとも、ロレンツォ以外の二人は、このフレスコ画が描かれた時には、既に亡くなっている過去の人物だから、唯一の現存の人物として描かれたロレンツォが、東方、西方の両方の世界を治めるぞっ!というかなり大胆な意思表示だったのかも知れません。
この老年の王様は、行列の先頭に当たるわけですが、良く見ると白いロバに乗っています(耳が長いでしょ?)。これは、ロバに乗ってエルサレムに入城したキリストにちなんでいる為です。
肖像画が得意だったべノッツォ・ゴッツォリはこのフレスコ画の中に沢山の当時の実在人物を描き込んでいます。それについては、後編で・・・。
このコンテンツでは、ブログ「フィレンツェ田舎生活便り2」で、私が、訪れたフィレンツェの教会や美術館について日記風に感想を綴った記事をまとめたものです。絵画作品や教会内の写真の一部はWEB上にある利用フリーの画像素材を使っています。現在は、全ての教会や美術館ではフラッシュ撮影は禁止、フラッシュなしの写真撮影も禁止している所が多くあります。今まで残ってくれた美術品に感謝しながら、これからも長く保存していけるように、鑑賞したいものですね。
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